慌てふためくあたしの気持ちだけを取り残し、そのままグラウンドまで連れて行かれてしまう。



窓から見えたブルーシートの青色と残り少ない桜のピンク色が眩しかった。



「準備させて悪かったなー」



ヒラヒラと手を振る優がブルーシートの上に座っている人達に手を振る。カラフルな髪の色に染まった強面な男の人達が沢山、そこにはいらっしゃった。



ズラリと並ぶ男の人達は数えられるような人数じゃない。たぶんここの全校生徒が集まったんじゃないだろうか?と思う程沢山居た。



ブルーシートの上には重箱やら紙コップやら、ペットボトルやらが置かれている。これは完全に花見状態じゃないか。


「これは…何の儀式ですか」


「てめえの歓迎会っつっただろ!聞いてねえのかよ!」


「いたっ!!聞いてたけど、きき、聞いてたけど気持ちがまだ着いて来てません隊長」


「俺はてめえをそんなヤワな部下に育てた覚えはねえよ。シャンとしろや」


「心の準備もさせてくれないなんて酷すぎる!」




だって一言も聞いてない。歓迎会って何だ。どうしてあたしの歓迎会なんだ。



「優の家でしばらく泊まる以上ここに来ることもあるかもしれないからねー」


「だから、皆には愛愛の顔を覚えておいてもらわねえといけねえんだよ。愛愛だって皆の事覚えてた方がいいかと思ってさ」



空と隼人くんがあたしの事をぐいぐいと前に押し出す。ブルーシートに座っていた男の人達の視線が一斉にこっちを向いた。



怖い。威圧感半端無いよ!!



「と言うわけやから。」



あたしの両肩にそっと両手を置いた優が弾むような声音で口火を切る。まだあたしはこの状況についていけてない、後3時間程待ってほしいと思うのに、誰も全然待ってはくれない。