その間に、奪い取ったスマホに指先を落とす。



無言のままに指先を何度か動かして、優がそっと肩を落とした。



もしかして消してくれたのかな。



「なあ、何だったんだよ?何かあったのか?愛愛、つーちんに何かされたのか?」



一人、把握しきれていない隼人くんが頭にハテナマークを浮かべてあたしの元へと近づいてくる。「大丈夫か?」なんて、可愛らしく小首を傾げるものだからあたしの中の何かが崩壊するところであった。危ない。



「隼人にはまだ早い話だよー。お前が見ると失神するかもしれねえから言えねえわ」


「何だよ!どういう話だよ!」


「お子様にはまだ早いって事やろ」


「俺と優ちん同い年だからな!」



いや、でもね、あたしも隼人くんに見られたらもっと立ち直れないよ。何だかあたしの写真で隼人くんを汚してしまったような気持ちに絶対なってたもの。




「っち、つまんねーの。」



優からスマホを取り返した翼は画面をギロリと睨み唇を尖らせた。オモチャを取り上げられた子供みたいな表情だ。



全然つまらなくないわ!次からお風呂に入る時は絶対翼が…いや、双子が帰ってからにしよう。



未だ、あたしを残念そうな表情で見下ろしていた空が「さてさて」と流れるような動作で着ていたカーディガンのポケットから煙草を一本引き抜き、口に咥えた。



あまりにそれが様になっていて注意するのを一瞬忘れる。こらこらこらこら。あなた未成年、っていうかここ学校だから。


空はだるそうに腕時計を確認して優に視線を投げる。