辿り着いた北原高校の校門をくぐり、カラフルヤンキーズの間を縫って突き進む。
「え?女?」
「誰だこの子?」
あたしが通り過ぎるたび、そんな声が回りから聞こえたけど今はそれどころでは無かった。今は一刻を争う。
校舎玄関へと辿り着き、履いていたスニーカーを玄関で揃え、勝手に客用スリッパを引きずり出した。グルリと一階の長い廊下を見渡す。
翼、いいか覚えておけ。絶対に許さないぞ。これはあたしの将来に関わる問題だ。大変だこれは。
適当な階段を見つけ、駆け上がる。ぐんぐんと上階に続く階段を駆け上がると錆び付いた扉が現れた。どう見ても屋上へと続く扉だった。
直感でしかないけど、ここに居るような気がした。
勢い良く扉を押し開ける。あまりにも勢いをつけすぎて凄い音がした。体当たりするような形でこじ開けたから少しだけ肩が痛かったけど、それどころじゃない。
そんな事気にしてられない。
「つばさーー!!」
怒りのままに名前を呼び、キっと屋上の真ん中でトランプ片手に目をまあるく見開いていた翼に突進した。
あたしが突進した事によって翼の手からも、集まっていた優も空も隼人くんの手からもトランプがふわりと舞った。
「うわッ!!お前足早すぎだろどう考えても!人間かよ本当に!」
「うるさい!!いつそんなの撮ったんだ!!許さん!!お嫁に行けなくなったらどう責任取ってくれるんだ!きいっ!」
「あ…愛愛どうしたんだよ!」
「お姉さん朝から元気だねー。」
「愛理ちゃん落ち着いてっ、」
いいんだ、大丈夫。ちょっとほっておいてくれ。これは知られたくない問題なんだ。