「それで、何か用事だったんじゃないの?今から買い物に行って安売りしてる野菜の取り合いしなきゃいけないんだから用件は手短に頼むよ」
『てめえは主婦かよ!?そんな用事後にしろ。今から北原高校に来い。3分で来いよ』
「え!?何だって?ちょっ、」
翼は一方的に話しを進めてブチリと電話を切ってしまった。
虚しいツーツーという音だけがこの場に取り残された。どういう事だ。意味が分からないぞ。何であたしがそんな不良高校に行かにゃならのだ。
それよりもこれからスーパーに向わなければ行けない。絶対にそっちの用事の方が重要だ。
翼の事だ「暇だったから呼んだわ。ジュース買ってきたんだろうな?買ってきてねえだと?ふざけやがって、何のためによんだ(以下略)」こんな感じの事を言ってくるに違いない。
今の電話は無かった事にしてあたしは気合いを入れ、スーパーへと向おうと意気込んだ矢先、再びスマホが震えだした。今度はメールだ。
まだ内容は見ていないのに、どうしてだろう…嫌な予感がした。
メールの送り主は翼からだった。翼様の文字を見てギクリと心臓が冷える。
内容は至ってシンプル。【屋上まで走ってこいよ。早く来なきゃこれ、ばら撒いちまうからな。】お前はどこぞの脅し屋だ!と心の中で突っ込みながらも指先でスクロールし、ゾっとした。
ジっと画面と睨みあい、自分の頬をつねってみた。
「痛い…」
カラカラに喉が渇いたような声がした。
それを見た瞬間、大慌てで身支度を整え走ってマンションを飛び出した。
北原高校までの道のりは大して迷いはしなかった。誰かに聞けばすぐに分かったからだ。それだけ“ある意味で”有名だという事だろう。