走馬灯のように色々な事が頭に浮かんでは消えていく。唇を噛み締めてジワリ浮かんだ涙をぐっと堪えていると。
「何1人で百面相しちゃってんだこいつ」
「さあー?これ見られちゃったけどいいのか?ダメじゃねえの?」
金髪と銀髪は今までの後悔で顔をしかめるあたしから視線を逸らし互いに顔を見合わせて肩をすくめて嘆息する。2人でこそこそ話しあっているその話はほとんどあたしの耳に入らない。
今、死ぬ前に色々楽しいこととか考えさせてくれ。
「殺すなら痛くしないでください…」
「はあ?こいつまじ意味分かんねえよ空。なんかこえーんだけど。やべえ薬とかやってんじゃねえだろうな。」
「ほっとけ。俺らの目的はそっちじゃねえだろ翼」
物思いにふけっているとあたしの足元で倒れていた男が呻き声を上げてゆっくりと起き上がったのが視界の隅に映った。
考え事をしていた思考が一旦停止、頭からダラダラと赤黒い血を流す男にあたしの視線は奪われる。
思わず悲鳴が上がりそうだった。男の顔色は真っ青と言うよりも真っ白で不気味に見えたからだ。
「お、俺は…ひぃっ!」
起き上がったかと思うと後ろの金髪、銀髪の顔をみて震えだす男。
その反応に本当にやばい人達な気がしてきた。この2人何者だよ。
「てめえ!ちゃっちゃと吐けば痛い目みねえのに逃げるからこうなんだぞ!」
金髪はそう言いながらその男の髪をガシっと鷲掴み引き寄せた。荒々しく揺さぶられ男は「ひいひいっ」と頼りない悲鳴を上げている。男の表情が痛みで歪んでいた。
けれどそんな事を気にする様子も無く、金髪はさらに揺さぶる事を激しくしていく。