言葉を返してやろうと閉じた口を開いた俺を翼が横から遮った。片手を俺の方に伸ばし、俺より早く言葉を投げる。
「俺はやっぱ反対だ!あいつはどこの誰かも分かんねえ。それにこんな偶然、拾ったのは俺だけどあの時と何ら変わんねえ状況が不吉だろうが。昨日だけ泊めるっつうならまだしも…」
翼はきっとあの時の優が見たくねえだけなんだよな。俺も同じ気持ちだ。きっと誰もがそうだろう。この話を後輩にしても、仲良くやってる他校のリーダーにしても、きっと全員が反対するんじゃねえだろうか。
「あそこは俺の家やし。俺が決めた事やから。お前らには絶対もう迷惑はかけへんって誓う」
「そういう事じゃないでしょうー」
「バカじゃねえのかお前。」
「この話はまた家帰ってからしようや。ここで盛り上がっておいて帰ったら本人サヨナラしておらんかったら笑えるし」
はい、終わり終わり。優が話を折るように両手を打ち鳴らす。パチン、乾いた音がした。
なるほど、あの話はするなって事ね。
優がそう決めたんなら俺らはこれ以上しつこくは口を出せねえ。けどなーーーーーもし次またお前が苦しむ事があるなら俺らだって考えがある。
あの時だって仕留めようと思えばあの女をーーーー。