「分かってる。やからちゃんと俺らの事も話す。それでも一緒に居たいって言ってくれたら俺は全力であの子を守りたい」




真剣な表情でフェンスを握り締める優はどこを見てそう言っているのかは分からなかった。



ただただ屋上から先を見つめそう言ってる。揺れる春の風にオレンジ色の髪が遊ばれるように揺れていた。



優があの女にこれだけ拘ってる理由は分かってる。



きっと翼だって気づいてんだろ。だから真剣な優の顔を見て何も言えないでいるんだもんな…。分かるけど、分かるからこそ俺は同意できねえ部分がある。



「優、今家に居るあの女はあいつじゃねえんだぞ?それにまた傷つくのはお前だ。どうする?また同じ事されたら。また同じ繰り返しだったらお前は本当に」



酷な事を言ってるのは分かってる。俺だってこんな事はできることなら言いたくねえさ。でもねえ、それを忘れてんなら忠告してやんねえと。夢を描いているならそれをぶっ壊してやらねえと。



俺の言葉に、遠くを見つめていた優は表情柔らかにこちらに顔を向けて苦笑した。



「…空、いつの話しとんねん。」


「分かってるくせに繰り返すのか」


「俺はもう繰り返さない」


「それはお前次第じゃねえ、相手次第だ」


「あの子はきっと…」


「夢物語だなそんなの」


「俺はそれでも信じたい」


「……」



信じたい、そう言っているくせにその不安そうな表情は何だ。