ピンク色の桜が咲き始め、ヒラヒラと足元に桜の花びらが舞い落ちる。足元に散ってきた花びらがたまたま靴先を撫でるように滑り灰色の地面へと落ちて止まった。



周りは今頃大変な時期。春のこの時期はどこもかしこも大騒ぎだと言うのにあたしは何をやっているんだろう。本当に嫌になる。



高校を卒業したばかりのあたしは、周りがどんどん将来に向けて突っ走る中、完璧に出遅れてしまったのだ。いや、出遅れたどころではないだろう。




自分のなりたいものも、やりたいことも、本当に何も分からなかった。なぜか周りが焦っていたのを他人事のように見ていたのを良く覚えてる。



楽しかった高校生活はあっと言う間に一変しーーーーーーああ、本当、もっと楽しんでおけばよかったのかなと今更ながら後悔。



周りがどんどん大人になって、あんなにバカな事をやっていたのが嘘みたいにまじめになって、自分だけ大人になりきれないまま取り残された。



就職先も進学先も見つけられず卒業して、卒業したばかりの頃は友達と遊んだりもしていたけれど、やっぱりみんな自分の事で忙しくなると連絡もあまりとらなくなってしまった。




親にも飽きれて見離され今に至るというわけだ。





「さっむいなあ、」



桜が咲き始めたといってもまだ4月の中頃。夜はやっぱりまだ寒い。刺すように冷たい風があたしの体を吹き抜けていく。



顔を下へと下げ闇色に染まる足元をジっと見つめながら宛も無くただただ足が動くそれに従って先へと向かう。あたしこれからどうしたらいいんだろうか。