「隼人 大丈夫か?」



優がゆっくりあたし達の横に近づいてきて隼人くんの頭を撫でる。クシャリクシャリと赤茶の髪が優の優しいその手に乱された。



「ごめん優ちん。愛愛…ごめん」



隼人くんはあたしからゆっくりと離れるとあたしの前に座り俯いた。膝を抱えて小さくなったその姿は叱られた子供みたいに見える。



あたしが何て言おうか、言葉に悩んでいると。



「「俺らにはごめんは無しか!!」」



双子が同時にべチンと隼人くんの頭を軽く叩いた。




「いってー!何すんだよ!」


「俺なんてお前の裏拳、顔面に食らったんだぞ!」


「知らねえよそんなの!」


「俺の顔が凹んだらどうしてくれんだ!」


「それはそれだろ、美形に整形してもらえばいいじゃんか」


「お兄ちゃーん、隼人くんが僕に喧嘩売ってきまーす。顔の事馬鹿にされましたー思うんですけど俺の顔馬鹿にする=兄貴の顔も馬鹿にしている事になるのでは無いかと思われますー」


「そんな事言ってねえじゃんか!」


「言っただろうが遠まわしに!」


「分かった分かった、朝から元気だねえ。兄ちゃん耳がいてえよー」




対峙する二人の間に空が手刀を振り落とし、「まあまあ落ち着け落ち着け」と二人の肩をそれぞれ叩いて言い聞かせる。



空が居なくなったらこの場の収集が付かなくなるのは目に見えた。兄ちゃん気質だもんな、あんなんでも。