昨日はどうせ明日行く場所は一緒なんだから、と言う事で全員が優の家に泊まる事になった。勿論その場に居たトシや杏ちゃんも。
久しぶりに同じ年くらいの女の子と話せてあたしは変にテンションが上がってしまい夜中まで杏ちゃんを話に付き合わせてしまった。
「杏ちゃん大丈夫?」
台所に立つあたしの隣で眠そうにふわふわと欠伸を吐き出して卵焼きを作っている杏ちゃんは物凄く眠そうだ。ごめんよ杏ちゃん。ついつい話が止まらなくなってしまって。
「大丈夫ですよ!愛理さんの話凄く面白かったです」
「いやー本当にいい子だね杏ちゃん。双子も見習ってほしいよ全く」
「そうですか?空さんも翼さんも優しい方だと思いますよ」
「そうかねえ」
奴らは分かりにくいんだよ。優しいかと思えば次の瞬間にはその行動が霞むほどの罵倒を飛ばしてくるような奴らだからさ。
「それにしても皆起きてきませんね…」
時計を見れば10時になっていた。本当だ、全く起きてくる気配が無い。
「夜遅くまで色々話ししてたんじゃないかな?」
あたし達が居たらきっと話し憎い話題だってあると思う。杏ちゃんとあたしが寝室に入ってから何か話し合いが起きていたのかもしれない。
「あたし起こしに行ってきますね。」
綺麗な卵焼きをお皿に移し、杏ちゃんは台所を出て行く。
エプロンを外す仕草まで輝いて見える。本当にあんな可愛さが自分にもあればいいと思う。きっと杏ちゃんの起こし方は凄く優しいんじゃないだろうか。