「愛愛、次もし危ない事あったらすぐに俺らに連絡しろよ?」
「うん。ありがと」
何だかんだ言いつつも皆ちゃんと守ってくれた。有難くて嬉しいと思うけど、完璧に寄りかかる事はやっぱり自分の性格上出来ない事だ。
それでも頼らせてもらう時は頼らせて貰いたい。
その分あたしが何か出来る時は、大いに使ってもらって構わない。そういう関係でありたい。
「優ちゃん、慎ちゃんが直接話しに来いってさー。明日暇ならトシと…後トシの彼女さんと出来ればお姉さんも連れて来いって」
電話をしに廊下に出ていた空がひょっこりと戻ってきた。もう電話は終えたのか手の中には持って行った携帯は無い。
空の言葉を聞いた優は一度だけ怪訝な表情を浮かべ。
「はい、愛理ちゃんは却下。トシは明日用事あるか?」
トシにその話を流した。
「いや俺は無いっすけど、杏も行けるよな?」
「はい。あたしで力になれるなら…もうこんな思いする子を増やしたく無いです」
杏ちゃんは強い子だ。自分より人の心配ができるなんて。本当に優しい子だ。
そこまで考えて疑問が一つ。
「あたしはいいの?」
どうやらあたしの名前も上がっていたみたいだけど。優は顔をしかめると「ええねん」頭を緩く横に振る。慎ちゃんって…たぶん南原のリーダーの人だと思ったけど。
「今、俺らと居る所をもしも東原の奴らに見られたら危ないし、愛理ちゃんは家で待ってて。慎にはいずれ会ってもらえばええと思ってるから、いずれね」
「そっか。」
素直に頷くとあたしの頭を「偉い偉い」子供の頭を撫でるようにくしゃくしゃと撫でてくる優。
「愛理ちゃん、俺らは仲間や。やから俺らも困った時は愛理ちゃんに頼る。愛理ちゃんも困った時は必ず頼るんやで」
「了解だ」
優の言葉を聞いて自然に笑みがこぼれた。
「ありがとう」
大丈夫、きっと大丈夫だよね?――――不思議と皆と居ると何だってやれそうな気がしてくる。
この場に居るとあたしは何だか強くなれる気がした。