「とりあえず南原にも連絡しとかねえと…だろ?」
空が携帯を引っ張り出しブラブラと揺らす。左右に揺れる携帯は今か今かと自分の出番を待っているみたいだ。
「ああ、連絡は早めの方がええからな。」
空は「へいへい」とだるそうに返事をして携帯片手に廊下に出ていった。空が出て行くのを見つめていると痛い視線を感じたのでその主を探す。
「何?」
その主は翼だった。睨めつけるようにあたしを見ていたから怪訝な表情を返すと。
「お前バカのくせに今日はやけに冴えてんな」
少しバカにしたような言葉が飛び出した。
「バカじゃなくて天才だったってことじゃないかい?」
「あ、それはねえから!どんまい」
「ちょっとくらい乗っかってくれ」
即答で返しやがった。
何だとこの!翼に掴みかかろうとした所で優が「愛理ちゃんの話し聞けてよかったわ。」笑顔であたしの行動を止めてきた。笑顔一つで納得してしまうあたしって安い女だな。
「やけど、1人であいつ探そうとかそんなん考えたらあかんからな。」
「そんな事しないよ!」
「お前は気が強いからな。俺らがいない間に1人で探しに行くとかありえる話しだ」
もしそれで捕まったりしたら優達に迷惑がかかるし。そんなに愚かな人間にはなりたくない。捕まえられるなら捕まえたいと思うけど。