「今の状況がそうやろ、俺らは黒髪に気をとられる。でもその間に髪の色なんていくらでも変えられる。それだけ優等生ぶった格好してたんや、次俺らみたいな髪色にしとったら見つけるん大変やんか」
優が説明すると「なるほど!」ポンと手を打ち鳴らした翼が「真実はいつも一つって事だな」得意げにそう言うがお前はただ聞いてただけだろ。
「じゃあ、その黒髪探しじゃ見つらないじゃん」
隼人くんが心底残念そうに言って、片手をテーブルへと押し付けた。悔しそうに。
「でも俺が思うに今回の件は向こうにとって誤算だな。きっとお姉さんが現れるなんて思ってなかっただろうから次は慎重になってくるに違いねえ」
あたしもそう思う。空の意見にあたしも優も頷いた。
「けどいい状況とは言えねえだろ。向こうは確かに暫くは大人しいかもしれねえけど、こっちだって振り出しに戻ったじゃねえかよ」
あたし達が先に東のリーダーを見つけるか。あっちが先に仕掛けてくるか。一触即発の空気は変わらない。
「愛愛の件に関しては大丈夫なのか?顔見られたみたいだけど」
「あたし、杏ちゃんの友達って言ったから大丈夫だと思ってた」
「何とも言えんけど、今はまだ平気やろ。」
「そうだなあ、お姉さんは確実に利用出来る人間かまだ分かってねえからな。だったら利用出来る人間に手を出した方が利口だって考えるんじゃねえか?」
それを聞いたからってあたしは安心出来なかった。自分だけ安全地帯に居て、杏ちゃんみたいに誰かの彼女が狙われているなんて耐えられない。
早く終わらせなければいけない。