「優の気持ちもお姉さんの気持ちも分かる分かる。だけどねお姉さん、本当、何でもかんでも突っ走っていいもんじゃねえんだよ?今回の事はお姉さんの気持ちを汲んでやろうじゃねえか。トシの彼女もおかげで助かったわけだし。」


「…ありがとう」


「うんうん、でも俺らの事も少しは信用してくれよ?間に合わせるつもりでここまで来たんだ」



それは分かってる、分かってるよ空。それはあたしが悪い、悪いよね。



「ごめんなさい」


「はい良く出来ました。さてさて終わりだ終わり。お前らやる事は分かってるだろ」



はーい解散解散。両手をパチンパチン打ち鳴らした空が後ろで待機していたヤンキーズに告げる。



言葉少なに告げたのにどういう意味が含まれていたのかすぐに悟ったらしく、ヤンキーズ達がペコペコと頭を律儀に下げると大きなバイクにそれぞれ跨った。



「じゃあ俺達は行きます」



先頭切ってそう言った小柄な男の子が一番最初にバイクを走らせると、その後を続くようにまた爆音を鳴らしてバイクがこの場から立ち去って消えた。残されたのは優達が乗ってきたバイクのみ。




「どういう意味だったの?」


「このまま逃がすわけには行かねえからさ。まだ近くに居るならチャンスだから探させるんだよ」


「ほう!皆は行かなくていいのかい?」


「行くよ。でも愛愛を送らないと」


「あたしかい?歩いて帰れるよ全然…そう言えばあっちの道に買い物袋投げっぱなしにしてきちゃったんだ」


「ああ、やっぱりあれお姉さんか。だと思って拾ってきた。」



言った空のバイクのグリップには買い物袋がぶら下がってる。いやさすがですね兄貴。