これはあたしの勘は外れたみたいだ。てっきりトシがいる時にさっきの奴らが襲ってくるんじゃなかろうかと思っていたけど、思い過ごしならそれでいい。



良かった良かった、安堵の息を長く吐き出す。ストーカー紛いでここまで着いて来てしまったけど、元の道に戻らなければ。そう思い踵を返した瞬間だった。


「―――きゃあっ!」



右の道から女の子の悲鳴が聞こえた。咄嗟にトシの彼女だ。そう悟り、二つの買い物袋を脇道に寄せて投げ出すとあたしは急いで彼女が消えていった道に駆け出した。



道を曲がるとすぐ、鋭い怒声が聞こえてくる。



「おい、うるせーぞ!騒がせるなよ」


「どっか別の道に入るぞ」



さっきの6人組が彼女を囲んで無理矢理どこかに連れ去ろうとしている。



冷や汗がでた。優達が言っていた言葉の通り、こちらが少人数の時に襲ってきた、それもトシの彼女に狙いを定めて。



こっちが狙いだったんだ。



急いで飛び出そうとも思ったけど、返り討ちにされて終わる結果が見えて慌てて一度電柱の裏へと隠れた。携帯を引きずり出しリダイヤルボタンから電話をかける。相手は勿論優だ。




電話が鳴るコール音の間にも右の道をチラリと見れば引きずられるように男達に引っ張られていくトシの彼女が見える。



早く出て!!お願い。ぎゅうっと携帯を握り閉める手に力がこもった瞬間。



『はーい?どしたん?』



ガヤガヤと周りの雑音も混じって優の声が聞こえてきた。優の後ろには翼や空や隼人くんもいるのか「誰だよ?バカ女か?」とか「お姉さん今日の晩飯なんだろねー」とか「愛愛?俺も代わりたい!」そんな声が聞こえてくる。



違うんだ、一大事だ!