「あははははは!お坊ちゃま君てっ、ふはっ」


「いやいや君ね、言っておくけどこれ結構重要な質問なんですよ先生」


「自分がキャラじゃなかったからっ、お坊ちゃま君てっ」



絶えられないのか体を折り曲げ笑う優にあたしはわたわたと両手を振り回す。だって、だってと言うたびに優は額をどんどん膝へと近づけていく。失礼な!




「いやあー、笑った。翼がここに居ったら笑い死んでたな。俺、親父が社長やねん。俺とは全く性格合わんくて、俺が家飛び出した時に居心地がよくて家に帰って来なくてもええようにってここを親父が用意したんやってさ。」


「ああ、それはとっても辛い経験を…ってそんな流れじゃありませんよね!?」


「何で?俺は別に何も思ってないし。ここほんま居心地ええし」



なるほどおー言葉には困るものの、優の中では暗いものでは無いのかもしれない。何となくではあたしに似てる部分があるのかもしれない。



あたしも家を飛び出してきたわけだし。



「じゃあ、あたしと同じだね」


「家出少女と家出少年?じゃあ、俺ら運命なんやな」


「運命、家出運命?」


「そう」



家出運命って…それはちょっと反応に困るのだが。



「愛理ちゃん?これからは何かあったら愛理ちゃんに話す。しばらく帰るの遅くなるの続くかもしれんけど、そういう事やから心配せんで」


「うん。」




心配は変わらずするけどね。でもーーーーー。




「話してくれてありがと」


「絶対このままで終わらせんから」



優の決意は固いらしい、けれど忍び寄る影にあたし達はまだ気づいてはいなかった。