━━パンッ!
その時。
あたしの手が止まった。
口が止まった。
全身に電流が、走った気がした。
あたしの目はバレーボールを打つ一人の男の子に釘付けになった。
その男の子のすごいジャンプ力。
そして。
すごい勢いで打ち返されるボール。
すべてに釘付けになった。
目を離せなかった。
ボールをうつ音が響き渡る体育館。
「やしな!オハぁ」
親友の光があたしの前にやってくる。
「...光」
体育館ではあたしたちの前にやっている
バレー部が練習中。
「やしなどうかした?」
「あの人誰?」
あたしは体育館でバレーボールをしている男の子を指差す。
「どれ?」
「あそこで一番背の高い人」
「あー。杉森だよ。杉森丈。小学校で同じクラスだったけどなした?」
光が首をかしげる。
杉森 丈くん。
あたしは光の質問なんかそっちのけで杉森くんを目で追っていた。
「もしかして、やしな杉森のこと好きなの!?」
「え!?」
あたしは光の言葉に顔が赤くなっていくのがわかる。
…好き?
これはもしかして恋なんだろうか。
でもついつい目で追っちゃうし。
一目ボレなのかな。
これって。
でも、一目ボレなんてあるのかなぁ。
今までしたことないし。
なんか変な感じ。
あたし、真鍋やしな。
この春から中学2年生です。
そして、今恋をしたかもしれません。
「それは一目惚れなんじゃない?」
帰り道、杉森くんを初めてみたときの気持ちを光にはなしたらそう言われた。
「やっぱそうなのかなぁ。でもすごいドキドキしてるし。今まで一目惚れなんてしたことないよ」
「恋は恋でしょ!恋にはいろんな形があるんだから!」
光が力強く言う。
「なんか光ってほんとに中学生?ってほど恋はベテランだよねー。あたしなんてまだ誰とも付き合ったことないしさ」
そう。
光は結構マセてて、初カレは小5なんだって。
最近まわりでカップルできはじめてるし。
あたしだけ疎外感。