「ましろはね、真白、だけど真っ白じゃないの」
 
目の前の彼女が、おかしそうにふふふと笑う。

「ましろは汚れてるの。
だって、お父さんもお母さんも、お兄ちゃんもお姉ちゃんも、みーんな、みーんな、殺しちゃったんだもの」
 
ふふふ。
ふふふ。

倖せそうに笑ってるんだけど、……泣いてるみたいに思えるのは、僕の気のせいだろうか?



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ましろと初めて出会ったのは。
秋も深まり、そろそろ冬に差し掛かろうかという頃だった。
 
父親の勤める会社が倒産したのを機に、年老いた祖母がひとりで暮らす田舎に移り住むことになった。

そこはほんとに、酷い田舎で、コンビニ一軒もない、過疎地。
外界との交通手段はマイカーか、村はずれのバス停に止まるバス、のみ。
しかもそのバスも一時間に一本あるかどうか。