「今日から頑張ってみるよ」

 明日からじゃなくて、今から。

 自然と言葉となって溢れた。
 
 最後の夏休みを死ぬ気で生きてみるよ。

 わたしの思いは鬼丸にも聞こえているかな。


 トモちゃんがわたしの右手をそっと包んだ。

 「……手を洗ってきなさい。作るならとびきり美味しいカレーにするんだから」

 「ありがとう」

 鼻を啜るトモちゃんの手はガサガサで、たくましくて、優しかった。

 その温もりは少しだけ、わたしにお母さんを思い出させた。