わたしから目を逸らさない凛子。

 その濁りのない瞳を見ていたら喉の奥が熱くなった。

 謝るのは、わたしの方なのに。

 「よかった。なっちゃんとまた話せて。お土産持っていったときに、謝ろうと思ってて……あ、お土産の力を借りようとしたんじゃないよ?」

 凛子は慌てたのか動作が大きくなる。
 
 わたしの視界がぼやけてくる。

 「わかってるよ。凛子は優しいね。いつも、ありがとう……」 

 その言葉に凛子は唇を噛み締める。

 なにかを堪えるように耐えていたけれど、凛子の綺麗な瞳からは涙がポロポロと溢れてきた。

 ピアノの発表会にわたしが行ったときの凛子の姿と重なる。

 凛子は子供の頃と変わっていない。

 優しくて、素直。
  
 変わらないことは、実はとても難しくて、すごいことなのかもしれない。

 
 ーーーわたしは、どうだろうか