どのみちわたしはトラックに轢かれて事故に遇うんだ。

 通り魔は怖いけれど、特長もわかっているならすぐ捕まるだろう。

 「凛子の相談って通り魔のことだったのか。俺はてっきり、ナツと喧嘩したことかと思ってたよ」

 凛子は首を横に振る。

 微かに微笑んでいたように見えた。

 「それは、私の問題だから。なっちゃんに、ちゃんと謝りたいなって思ってたの……ひとりで考えて、私って、ひどいことを言ったなって」

 「凛子は悪くないよ。わたしがあんなことで怒るから」

 「ううん。あんなことじゃないよ。おばさんのことは、なっちゃんにとって大切なことなのに。ごめんね……私、無神経だったよね。なかなか謝れなくて、ごめんね」
  
 凛子はわたしに二度も「ごめんね」と謝る。

 今まで過ごしてきたなかで一番大きな声に聞こえた。