『わたしは、わかんない……母さんが、わたしのことを嫌いだったんじゃないかって思ってるし』
『き、嫌いなんてこと、ないよ。なっちゃんは……わからないの?』
そう聞かれたとき、凛子から目を逸らした。
とても見れなかった。
わたしの一番触れてほしくない部分を掴まれた気がして。
『なんで凛子にそんなこと言われなきゃいけないの? わかったような口きかないでよ……!』
悲しくて、悔しくて、わたしは怒った。
八つ当たりだったかもしれない。
わたしが一番知りたいことを凛子は知っているのだ。
わたしが知らないことの方が凛子はおかしいと思ったかもしれない。
凛子は、細い肩を震わせて、ただ泣きそうになったまま固まっていた。