ふたつ目の奏多のやりたいことへの誘いは意外と早くきた。
それは陸に会ってから四日後のことだった。
配達に向かうお父さんが日課にしていることーーー母さんの仏壇に手を合わせ、
「いってきます」
と、声をかける姿に後ろめたさを感じていたら、丁度電話が鳴った。
いいタイミングだった。
「奏多? わかってるよ。やりたいことでしょ? 今度はなに?」
見越したようにわたしから聞いた。少しばかりウキウキしていたせいか声が弾んでいたのが自分でもわかる。
だけど、
『そうなんだけどさ、今すぐ凛子の家まで来れるか? ちょっとまずいことが起きた……』
「え?」
予想もしない返答に鼓動が波打った。
それに、受話器越しに聞いた奏多の声はこないだに比べるとずいぶんと沈んでいる。暗い顔をしている奏多の顔が目に浮かぶ。
とにかく凛子の家のそばまで来てほしいと言われ、わたしは電話を切ると急いで家を出た。
胸がざわざわと震えた。