「ナツ、これが俺のやりたいことリスト」
なんかのノートの一ページを破ったであろう紙は四つ折りになっていた。その紙を開いて広げる。
『最高の夏休み計画書』
マジックペンでデカデカと書かれている。小学生の頃から変わらない字に口許が緩む。
「これにわたしが付き合うの?」
「そういうこと。退屈なんだろ?」
奏多が口角を上げて笑う。
こんな紙、過去に見せられた記憶がない。
最後のお楽しみにとさくらんぼを避けてアイスクリームを口に入れながら思った。身体のなかが心地良く冷たくなる。
「ねぇ、どこが最高の夏休み計画書なの? ただの予定表みたいだけど」
箇条書き形式で奏多のやりたいことがいくつも並んでいる。
『トモちゃんの喫茶店でクリームソーダを頼む』も、そのうちのひとつらしい。
わざわざ書く必要もない気がする。
他に、気になる名前がいくつかあったが触れなかった。