外から流れてくる生温い風にどこかの夕飯の匂いが混ざってきた。 遠くで子供達が「また明日ね」とかけあう声が聞こえる。 この影森はなにもない田舎町だけど、わたしはこの町が嫌いじゃない。むしろ、好きだと思う。 奏多がいるから。 この町にはずっと、奏多がいたから。 生きたいのなら、生きたい理由と過ちを探さなきゃいけないんだ。 わたしに見つけられるかわからない。 けれど、時間を無駄にしないように過ごそうと強く思った。