ああ、やっぱり奏多がいないと寂しいな。

 ホントはとても寂しい。

 会いたくて、泣きたくなるよ。


 奏多のいない毎日なんてわたしには想像もつかない。

 でも、奏多がいない町で、わたしは頑張ってみるよ。


 何度も躓いてしまうだろう。転んでしまうだろう。

 もう嫌だって泣いてしまうかもしれない。


 それでも、いいんじゃないかな。


 誰かが言っていた。

 逃げてもいい。苦しいときは助けてって叫んでもいいんだよって。
 

 くしゃくしゃになった顔でわたしは笑ってみる。

 奏多も、遠い空の向こうで笑っているかな。


 
 『精一杯、生きろ』


 遠くで、いつかの優しい声が聞こえた。





【完】