目を覚ますと真っ白な天井と目が合った。

 ぼんやりとした視界が徐々に鮮明になる。

 真っ白な掛け布団がわたしの胸までかけられている。

 少し軽い掛け布団から消毒液の匂いがした。


 ここはどこだろう?

 なんだか長い間眠っていたような気がする。
  


 身体がお日様に包まれているようにとても温かかった。


 指先に伝わる誰かの温もりを感じて、わたしはゆっくりと目線を横に向ける。


 「……お父さん?」
 
 椅子に座ったまま、わたしに寄り添うお父さんの姿がある。
 
 わたしの手をずっと握ってくれていたんだね。


 「お父さん」

 もう一度呼び掛ける。

 わたしの手を握っている父さんの手がピクリと震え出した。


 「ああ……夏希……夏希」


 飛び上がるように身体を起こしたお父さんの声は掠れている。

 わたしが頷くと涙ぐむお父さんの顔が瞬く間にくちゃくちゃに歪んだ。

 かりん糖みたいに日焼けした頬は少し痩せている。