鬼丸は目を閉じる。安らかに眠るように。


 「夏希。もう一度聞く」 

 大きく息を吸い込むとその目を開く。

 鬼丸は一点の曇りもない瞳をわたしへと向ける。

 大丈夫だ。もう、怖くない。


 「なぜ、生きたいと願う」

 わたしの魂に問いかけるように。

 

 生きたいと願う理由。

 
 生きる価値があるとかないとかわたしにはやっぱりわからない。

 自分じゃそんなこと決められないし、評価も出来ない。

 きっと、どんな人間だってそう。

 もしかすると神様だってそれは決められないんじゃないかな。