生きたい理由と過ちを見つけてくること。

 それは今回のわたしの夏休みの課題だった。
 
 未来を生きるために、わたしに必要な理由。

 でもきっと、それだけじゃない。

 
 「鬼丸。わたし……わたしね。思ったんだ。夏休みをやり直して気づいた」

 鬼丸はわたしの答えを待っている。


 「もしかしたらこの夏は、わたしが“さよなら”をするための時間だったのかなって」

 
 それは、ずっと一緒にいた奏多と。

 母さんが大嫌いで思い出から逃げてきたわたしと。

 明日でいいと後回しにしてきたわたしと。

 時間を、命を無駄にしてきた日々と。

 大切なことを見落とした自分自身と。


 わたしには、さよならをする時間が必要だったんじゃないかな。