「ごめんごめん。いきなり電話して。祭りまでまだ時間あるよな」
「うん。平気」
たった数日会わないだけで久しぶりに会った。
そんな気持ちになる。
わたしは普段通りの声を出せていたかはわからない。
きっと奏多も。
「それ、なに?」
奏多は左手に青いラインの入ったノートを持っていた。
年季が入っている。長い間どこかにしまわれていたみたい。
そんな可哀想なノートに見える。
「ああ……」
奏多は眉を下げるだけでそれがなにかは答えない。
「あそこ座ろっか」
お土産を届けてくれた日、一緒におまんじゅうを食べたベンチを奏多が指差した。
ベンチに座ると肩と肩がぶつかりそうになる。
胸の奥がキューッと苦しい。