鬼丸は本気だった。
「ねぇ、鬼丸。今までここに来た人達はどうなったの? みんな……あの扉の向こうに行ったの?」
扉を開くとどんな世界があるのか、想像もつかなくて怖い。
「みんながみんなやり直せるわけじゃない。犯罪者は即刻裁判にかける。地獄にも種類があってな、一番苦しいとされる無間地獄行きになった奴もいるぞ」
「む、げん? なにそれ」
地獄にも種類があるなんて初めて聞いたよ。
どんな地獄か聞くと、
「地獄に落ちるまでなんと、二千年もかかるんだ」
「に、二千年……」
その間とてつもないほどの苦しみが襲うんだと聞いてゾッとした。
さんざん苦しんでようやくそれは終わるのではなく、本当の地獄が始まるのか。やっぱり地獄は嫌だ。
「もちろん現世に戻った奴もいる。素行の悪い不良も、嘘つきな子供も。さっきお前が言っていた、いじめをした側の人間もな」
「ねぇ、それってわたしより悪い子じゃない! なんで、いじめをした側が戻れたのよ?」
それこそ生きる必要がないって判断しそうなものなのに。
それに比べたら、不良でもないいじめもしていないわたしは、即刻現世へ戻されるべきだろうと思う。