ドアを開けると一瞬夏の陽射しに目を焼いて視界が白くなる。

 「えっ……」

 次に目を開くと大きな麦わら帽子が飛び込んできた。

 「ただいま、なっちゃん」

 そこには凛子がいたから驚いた。

 輪郭をなぞるように揺れる長い髪を手で抑えている。

 「凛子? もう帰ってきたの?」

 「え? も……もう、って?」

 今度は凛子が驚いたように目を丸くした。

 そっか。帰国がもっと先だということは過去に聞いていたけど、実際わたしは事故のせいで凛子には会えなかったんだもんね。

 「ホントはもっと先に帰る予定だったんだけど……えと、私が帰りたいって、わがままを言って……それで……」

 凛子がもごもごと話してくれた。

 「そうなんだ。でも、どうして?」

 「だ、だって……もうすぐ、夏休み終わるから。それで、私、なっちゃんが心配になって……」

 「心配?」


 凛子の大きな瞳に不安の色が広がっている。