「なんで…?

まさか、局長さんが雨ちゃんの事を…?」

「まさか!

近藤さんに限って有り得ないっす」


大きく首を振り、否定の言葉を漏らした。



「赤木が痺れを切らしたか、近藤さんは雨さんの行方を知らないことを察したのか、定かじゃないっすけど、多分……後者っす…」


苦虫を噛み潰したような表情の彼に少しほっとした。


やっぱり貴方も、あの温かい雰囲気が好きだったのね…。


「でも…駄目よ。

雨ちゃんがようやく人間らしく変わり始めているのに」


翔の腕をギュッと掴み、懇願するように訴える。



「とりあえず一葉さんに報告するっすけど、一葉さんは多分動かないと思います。

今はまだ、俺達の存在を大きく知らせる訳にはいかないっす。

一葉さんの願いが叶うまでは…」


頭では分かっていた。

きっと一葉は動かない。

一葉にとっても、雨ちゃんにとっても、その方がいいとは分かってる。

でも少なからず今の彼女には、新撰組が必要だということも…分かる。


足に力が入らなくなり、ペタンと座り込む。


「美華さん?!」


翔の言葉も届かないほど、私の頭の回路は一時停止してしまった。