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「みっはなさーん」


静かに障子を開き、小声で名前を呼ぶ。



「翔…!」

驚いた彼女は少し大きな声が出てしまい、慌てて口を抑える。


二人揃って、傍の布団で寝ている香月雨をチラリと見た。

規則的な寝息にホッと胸を撫で下ろす。


親指を立てた翔に外を指され、こくりと頷き、そっと外に出る。



少し離れた廊下でひっそりと話を始めた。

翔は新撰組の情報を美華に包み隠さず与えた。



「…そう。

芳しくないわね」

眉を下げ、瞼を伏せる美華。



「雨さんの具合はどうっすか?」

「こっちもあんまり良くないわ。

日常生活に支障はないけれど、全開で動くのはまず無理ね。

体の防衛本能だと思うけれど、日中も寝ていることの方が多いわ…」


翔は片手を顎に添え、もう片手は肘に添えるような格好をとった。


「なるほどっ」

「引っぱたくわよ」

「すんません…」


巫山戯る翔に美華は平手を振り上げる。