「ってかお前、さっきから知りたがるなぁ」
じろりと訝しむ目に、彼はニコニコ笑う。
「だってー、ここに居るだけで暇じゃないっすかー。
噂話くらい聞かせてくださいよ」
ケラケラ笑う彼に毒気を抜かれたのか、男はまた溜め息をつく。
「暇だけどよー、噂好きってお前女かよ」
「まぁ、いいじゃないっすか。
楽しく話しときましょ」
その時、扉が開く音がして、二人は一斉に立ち上がる。
足音を立てて近づいてきたのは、赤木と兵士達だった。
二人は再び敬礼を見せる。
「ご苦労。
もう持ち場に戻って構わない」
赤木の言葉に、「はっ!」と返事を返して、少しお辞儀をする。
彼はちらりと束縛された男を見て、その場を後にした。
「持ち場に戻るぞ」
「じゃあ厠に行って戻ります」
「はぁ?
ったく、さっさと戻れよー」
彼は男と別れ、厠の方に歩く。
建物の隅で伸びている男を見つけた。
「これめっちゃ重たいっすねー。
お返ししまーす」
そう言って、伸びた男の上に脱いだ鎧を置くと、その場を後にした。