「女王様がそういう命令を出したんすかね?」
「足が悪くて謁見の際にしか顔を出さないお方だ。
下っ端の俺達に分かるわけねぇだろー…」
大きな溜め息をつく男に「そっすよねー」と返す。
蝋燭の揺らぎを見ていると、どこからの隙間風に蝋燭の灯りが揺れる。
一瞬見えた繋がれた男の傷跡。
鞭のような物で付けられた傷と、髪の毛を滴る雫。
「なーんかこれって拷問じゃないっすか?」
「馬鹿。
デケェ声でそんなこと言ってんじゃねぇよ。
赤木様が尋問って言ってんだから、そういう事にしとけ」
再びベシッと頭を叩かれる。
「ん?
冤罪でも反逆の罪に問うなら、こんな面倒な事せずに首落とした方が早いんじゃないっすか?」
キョトンとした疑問に、男の顔が少し引き攣る。
「お前、そんな表情で怖い事サラッと言ってんじゃねぇよ。
こいつの尋問はそれとは別。
赤髪の奴逃がしたとかで、されてんだってよ。
俺も聞いた話だから、そこんとこはよく分かんねぇよ」
両手を横に広げて、顔の前で止めた男。