「彼は香月くんの師、もしくは同じ師をとったのではないかと、ふと思いまして」
その答えはストンと俺の中、いや、俺達の中に落ちてきた。
同じ型、同じ足運び、十分に考えられることだが、また疑問が生じる。
それは雨と同じ世界からやってきたという事になる。
どうやって?
雨を取り返しに来たということか?
じゃあ何故あの時に連れていかなかったんだ?
「有り得ない話ではありませんが、そうすると疑問が増えていく一方なのですよ」
フフッと疲れたように笑う山南さん。
今度は俺が息を吐き、上を向く。
そのまま後ろの壁にもたれる。
「しかし、彼女の歌は大したものですね」
山南さんの方から何かを摩るような音が聞こえる。
「私の腕は刀を振るうには致命的のはずだったのですが、ここまで綺麗に治してしまうなんて」
うっとりするような声に、3人で苦笑いを返す。
恐らく、山崎も苦笑いをしているのだろう。