「…その後はその〝一葉〟と呼ばれる外套の男に気を取られてしまい、香月を抱いた翔と女を取り逃してしまった」
「君たち2人を相手取る外套の男〝一葉〟か」
翔達のことは気づいた新八たちが追ったが、城壁を飛び越えられると後の祭りだった。
あんなに簡単に逃がしちまうとはな…。
その後は一葉に攻撃を仕掛けても上手い具合にいなされてしまい、所々に怪我をおってこのざまだった。
一葉には傷一つ付けられなかった。
「そういえば一葉って奴は、雨ちゃんに型って言っていいのか分かんねぇけど、そっくりだった気がすんなぁ」
ボソリと口ずさんだ新八に、俺と斎藤はハッとする。
「斎藤、あの時の!」
「…確かに、あの足運びといい、似ている」
新八は再び首を捻り、山崎は「なんだ?」と相槌を寄越す。
「2人とも覚えてるか?
菊さんが屯所に来た時の事」
「まさか…!」
山崎は気づいたのか、声を漏らす。
少し上を向いて唸ると、新八もハッと顔をこちらに戻した。