「何なんだよ、全く…。
近藤さんだけ連れてかれるし、翔は雨を連れ去るし…。
訳分かんねぇよ!」
不貞腐れるあいつの言い分は最もだ。
俺の横で斎藤は、顎に手を置いた。
「…翔は元々あの外套の男の下についていたと見てまず間違いは無い。
…だが、何故香月を?」
同じような疑問が3人の頭を駆け抜ける中、探していた聞き覚えのある声が耳に届いた。
「その声は原田さんに永倉さん、斎藤くんか?」
壁を隔てた向こうに3人揃って頭を向ける。
「おいおい、山崎か?
お前今までどこに居たんだ?!」
新八は素早く壁に張り付いた。
「俺は君たちよりも早くここに入れられていた…。
連絡できず、すまない…」
遠慮がちな声に、疑問を抱く。
「俺たちより早く?
どういう事だ、そりゃ」
隔たれた壁をじっと見つめる俺たちに、今更どうしようもない真実が明かされる。