二人は暫く睨み合ったが、三人の均衡は意外にも私の首に掛かった手が解いた。
久しぶりに喉に空気が入り、少しむせてしまった。
応じるように美華さんもクナイを下げ、それを見て翔も腕を離した。
「美華、責任持ってお前が雨を見張ってな。
翔、調べることがある。
来い」
「はーい。
じゃあ、美華さんも雨さんもまた今度!」
一葉の態度とは反対に、元気よく出ていった。
姿が見えなくなると、美華さんは慌てて私の背中を摩る。
「雨ちゃん、大丈夫?!!」
眉を下げる彼女に、前回会った彼女を思い出させる。
さっきまでは別人のようだったのに、こっちが素なのかもしれない。
「…大丈夫。
それより聞きたいことがあるんだけど」
真っ直ぐ見つめる私にオドオドと困惑の表情を向ける。
「ごめんね、雨ちゃん。
私に話せる事は何も無いの。
強いて言うのなら、ここに来てからの貴方の様子をずっと見守っていたわ…。
それ以上は………話せないの」