「三人揃って口を噤むのは、知ってるって事でしょ?」
もう一度、一葉を睨みつける。
「んなこと今はどうでもいい。
話の腰を折るな。
…雨、お前暫くはここにいろ」
「前から思ってたけど、勝手に決めすぎ。
黙って従うと思ってる?」
私の拳が力強く握られる事の方が遅かった。
一葉の右手は私の首に掛かっていた。
ゆっくり力の入る指に、私の奥歯がギリッと鳴る。
感情のない表情は、睨みつける私をものともしない。
「選択肢は無い。
倉庫にぶち込まれないだけありがたく思え」
更に力の込められる指に、「…くっ」と声を漏らす。
その時、一葉の首にクナイが当てられる。
「雨ちゃんを離しなさい…!」
美華さんが正面から彼の首を狙っている。
その彼女を翔が何も言わずに、反対の腕を掴んで止めていた。
「翔、離してやれ。
美華、それを感情のまま動かすのは勝手だけど、無駄だって言うのはお前も分かってるよな」