私の問いかけにゆっくりとこちらを向く縁側の彼。
私の目が段々と、これでもかと言うくらい大きくなるのが分かる。
「あぁ、起きたか」
いつでも何考えてるのか分からない顔も、やる気の無さそうな声も、私は知っている。
そして、この着物の女性も私はつい最近会ったことがある。
あの時はボロ布のような服だったのに、今は綺麗に身だしなみが整っている。
頭が整理できない。
聞きたいことが多すぎて、理解不能なことがありすぎて、声が出ない。
「何が…起こってるの…」
錯乱中の私を他所に、男はふらっと私のいる場所まで来て、じっと私の顔を覗き込む。
「もう大丈夫そうだな。
美華、翔を呼んでこい」
「わ、分かったわ…」
美華さんはハッとしたようにパタパタと動き始めた。
男はそんなことお構い無しに、私の布団の横に座る。
「久しぶりだな、……雨」
表情のない顔で、私を真っ直ぐと見つめていた。