「そいつをどうするつもりだ」
原田佐之助は〝一葉〟に槍先を向けるが、彼は特に動きはしなかった。
「この馬鹿が世話になったな。
雨は俺達が連れていく。
もうこいつの事は気にするな」
抑揚のない言葉に、原田佐之助たちは大きく目を見開いた。
その様子に翔は、「説明しなくていいんすか?」と首を傾げるが、〝一葉〟は「必要無い」と一喝する。
反応遅れて、原田佐之助たちは彼らの周りをぐるりと囲った。
「香月くんを助けてもらったことは感謝するが、連れて行くのを許可した覚えは無いぞ」
目を細め、睨みつける近藤勇に賛同するかのように、斎藤一は刀を力強く握り直す。
〝一葉〟はふぅっとため息をつくと、翔に横抱きにした彼女を渡した。
「面倒だ。
先に行け」
「了解っす。
行きましょ、美華さん」
ニコニコと笑う翔に促され、美華はコクリと頷く。
その瞬間、〝一葉〟の体が動いた。