ヒュンッ
彼が刀を振り下げた後、ゆっくりと黒い兵士が永倉新八の後ろに倒れる。
身動きが取れないまま、もうそこにはいない翔の残像だけを、永倉新八は見つめていた。
翔は刀を肩に掛け、後ろを振り向く。
「永倉さん、ダメじゃないっすか。
戦場で余所見なんて、死ぬっすよ〜?」
いつもの調子で言った翔は、彼らにとっては別人に感じさせた。
「…翔、お前は一体何なんだ?
お前と一緒にいる奴は誰なんだ…?」
原田左之助は苦虫を潰したような表情で、頭を冷やすかのように冷静に彼を睨みつける。
近藤勇、斎藤一、山南敬助たちは、彼らを睨みつけながらも敵の相手をしていく。
「そんなことより、ほらっ!
原田さん!
今は敵さん相手にするのが先っすよ!」
そう言って両手を広げたかと思うと、器用に回し蹴りを決める。
やむ無し、原田左之助たちはまた敵の相手をしていく。
「…翔。
…終わったらお前に聞きたいことが山程ある」
斎藤一が黒い兵士を相手にしながら、翔の横まで来る。
「うへぇー。
斎藤さんまで、怖いっす〜」
彼の余裕に異様な雰囲気を感じた。