「雨?」
急いでそっちに向かいたいが、敵が狂ったように押し寄せて来る。
恐らく、俺たちの体の異変に気づき、猛攻撃に出たのだろう。
「くそっ!
退け!!!」
煩わしい敵を切り伏せつつ、少しずつ雨に近づこうとする。
新八たちも同じように、眉をひそめながら戦っている。
その時、ガラガラと瓦が音を立てながら、雨の体を勢いよく落としていく。
あんな所から受け身も取らずにそのまま落ちれば、大怪我では済まない。
雨に何がどうなってあんなに苦しんでいたのか、どうしてそのまま転がり落ちているのか分からないが、誰でもいい。
誰か雨を受け止めなければ…!!
焦りが頭を占める。
せっかく治った自分の体が傷つこうが、どうだっていい。
捨て身になりながら近づこうとするが、簡単に通してくれるわけもない。
新八を初めとした他の奴らも同じように思っていたのか、同じ方向を見ていた。
それでも誰も近づけぬまま。
「雨!!!!!!」
俺の叫びも虚しく、雨の体は宙に放り出されてしまった。