その時、あの時聞いた綺麗な歌が耳についた。
全ての人間の動きが止まった。
声のする方をゆっくり振り向く。
そこで歌っていたのは、やはり思った通り。
「あ…め?」
自身の体に光が吸収されていくことに気づき、今度は自分の体を凝視した。
冷静に周りを見ると、俺と同じように吸収されている。
「どういう…」
不意に出た疑問は途中やめに、ハッとする。
体の疲れや傷が、癒えていく…?
新八を見ると、先程までの出血が止まり、傷口がみるみるうちに塞がっていく。
俺たちだけではなく、山南さんたちも例外ではなかった。
もう一度雨を見る。
「お前は…、一体…?」
呆然と見ていると、「うぉぉお!」と敵が斬りつけてくる。
それを難なく反撃し、斬り伏せる。
これなら…!!
そう思うと同時に、歌が終わる。
「うぁぁ…っっっ!!!」
雨の苦しげな声が微かに聞こえて、慌てて振り返る。
苦しげに膝をつき、固く目を閉じている。