歌の途中から来ていたじんわりとした痛みが、唱え終えた後に津波のように来た激痛。


「うぁぁ…っっっ!!!!」


総司の時の比ではない。


それもそのはず。

今回ばかりは人数が違いすぎる。


出来る限り落ちないようにすぐに膝をつくが、体が言うことをきかない。


ついたはずの膝が役に立たない。



ギュッと痛みを耐えるように瞑っていた目を開けて前を見ると、驚いたように左之たちを含めた隊士たちがこちらを見ていた。


…あぁ、もう皆痛そうじゃないな。



激痛よりも報われたような気分が押し寄せて来る。

今…、幸せだと言っていた人たちの気持ちが分かった気がする。


あの時、総司と平助の制止を押し切ってきて良かった。

トシがすぐに行かせてくれたから、間に合った。

ちゃんと役に立ったな…。


フッと自然と笑みが溢れる。

その時、体全体の力が抜けた。


ゴロゴロと転がり落ちる私の体を止める術はもう無い。


屋根の端から自分の体が宙に舞った。


意識が完全にシャットダウンする前に、佐之の私を呼ぶ声が聞こえていた。