瞼を閉じると、かすかに聞こえていた声が大きくなっていく。
───やめておくれ。
夢の中でもないのに、暗闇の中で琥珀色の髪が不安そうに揺れた。
彼は私をギュッと抱きしめる。
私の心も僅かに揺れる。
───雨、お前が無理をすることを誰が望むというのだ。
きっと皆に怒られる。
皆を怒らせたくも、心配させたくもない。
彼らは優しいから。
───お前の能力を使うことの意味は分かっただろう。
〝自身が欠ける〟。
あんたが教えてくれたじゃない。
理に反することに代償が伴うのは、きっと私だけじゃない。
だから、お父さんが死んでしまった。
────そうだ、〝諸刃の剣〟なのだ。
危険で頼りない私の力。
でも、これまで私は奪うことしか出来なかったんだ。
瞼を開ければ、左之が膝をついている。
勇が渋い顔で歯を食いしばっている。
一から初めて聞いた大声が耳に残ってる。
新八や敬助が痛みを我慢しながら、立ち上がろうとしている。
この力が大事な人たちの為になるなら、私はいくらでも…!