しばらく続いた沈黙の末、外套の彼はつまらなさそうに、背を向けて歩き出す。
少年はわざとらしく、ホッと胸を撫で下ろす。
「勘弁してくださいっす〜」
苦笑を浮かべ、彼の後について行く。
その時、音も立てずにスッと影が舞い降りた。
「…どうだった?」
彼らはその影に驚きもしなかった。
「…雨ちゃんは、爆発の方に向かってるわ」
苦虫を噛み潰したような表情は、両腕を前で組んで、翔を睨む。
「翔、貴方が雨ちゃんをちゃんと引き留めておかないから!」
「すんませんすんません!
そんな怒らないでっ!
美人が台無しっす!」
外套の彼の後ろで縮こまる少年を、頭ごなしに怒鳴りつける彼女は、更に顔を険しくさせた。
「貴方、それでも…」
「すぎてしまったことは仕方ない」
彼女の言葉を遮り、また歩き出した外套の彼。
「俺たちはこれから起こることを防ぐまでだ。
雨を連れてくるのはその後。
…いいな?」
各々、異なる表情でコクリと頷いた。