「雪木は、本当に優しいな」

いいこいいこと撫でる手の平。私の心を見透かすのが得意な人は、その方が“出来ればいいな”と返す。

「知ろうが知るまいが、どのみち、雪木は俺のお嫁さんなのは変わりない事実だからね」


「……あなたという人は」

文句を言いたくなるも、幸せそうな笑顔に水差すことは出来ない。ため息一つついて終わることにする。ーー後は。

「図書館の方!本当にありがとうございました!」

カラーバリエーション豊かな感謝のされ方ーー小人さんたち全員のふかぶかーな感謝を受け取った。

「今頃、白雪姫はお城からスタートしていることでしょう!いやぁ、本当に良かった」

うんうん、としみじみと喜びを噛み締めるレッドさん。それに合わせて他の五人(イエロー復活含む)も合わせて頷いていた。

私の仕事もこれで終わりだ。問題は解決され、後は対策として今後のことについて話し合う。

「もう分かったと思いますが、今後白雪姫を監禁しないようにお願いします。あと、過度な肉体改造は禁止でお願いします。それ以上イケメンになったら、物語が破綻しかねませんから」

前回のシンデレラ同様、対応としては口頭での注意喚起で十分だろう。監禁の果てにあるものもしっかりと目に焼き付けたようだし。


「あ、あと一応、助言者の最後の小人さんにも話をしたいのですが」

徹頭徹尾、姿を表さなかった末っ子(七人目)。彼の助言もあって白雪姫を監禁した経緯もあるんだ、言葉だけでもかけておかなければ。

言えばレッドさんは聞き受けてくれ、さっそく離れの小屋と繋がるパイプに声をかける。


「七男、図書館の人が話がしたいって!俺たちの白雪姫を助けてくれた恩人だ!きちんとお礼して、言うことをーーはあ?お前まだ言ってんのか?白雪姫を監禁しろってーー思うがままに行動しろって言った次は、全て消せとか、は?なに?『物語の先に行け』?どうした、七男。悪いものでも食べたのか?」


「ちょっと待ったあぁ!」

レッドさんをパイプから引き剥がす。代わりに私が耳を近づけようとしたが、セーレさんがいつの間にやら私のやりたいことをしていた。

「……」

深刻そうな顔が私や小人さんたちを見る。

「この『七男』の姿を最後に見たのはいつだ」

「あー、ええと。ブラックはよく世話やいてたけど」

「ふるなよ、赤兄貴。あいつ、もとから引きこもって日の光や外の空気が害悪とかほざいてる奴だったから、その……一切出てこなくても仕方がないと思ってたし……その」

つまりは、気が遠くなるほど昔に見たわけで。